捨てられるはずだった血液の成分を使い、傷ついた脳の神経を蘇らせる最新の研究が北海道内で進んでいます。その最前線です。
献血された血液が集まる、日本赤十字社の北海道ブロック血液センター。
輸血できるようにするための作業が行われていました。
日本赤十字社北海道ブロック血液センター 若本志乃舞 製剤開発課長
「患者さんへの輸血の副作用を防止するために白血球を除去するフィルターになります」
多い日で800個ほど捨てられている白血球除去フィルター。
ある成分も含まれていました。
若本志乃舞 製剤開発課長
「血球成分のうちの血小板が一緒に捕捉されてしまいます」
その成分とは、血小板です。
新たな脳の再生医療に向け、血小板を活用します。
フィルター内の血液を遠心分離機にかけて抽出し「凍らせて溶かす」という工程を繰り返します。
若本志乃舞 製剤開発課長
「細胞の増幅を支持するタンパク質」
血小板から中身のタンパク質だけを元気な状態で取り出してできたのが「PL液」という液体です。
これが脳の再生医療に役立つと期待されています。
そのPL液が運ばれたのは、日本赤十字社とともに研究を進める北海道大学です。
北海道大学医学研究院 脳神経外科学教室 川堀真人医師
「ここに写っている小さな1つ1つがフラスコに張り付いた幹細胞になります」
フラスコの中にあるのは患者の骨髄から取った幹細胞。
血小板由来の「PL液」が、様々な細胞に代わる力を持つ幹細胞の増殖を手助けするというのです。
川堀医師は損傷した脳の神経に患者の幹細胞を注射し再生させ、麻痺などの症状を和らげる治療の研究を進めています。
その治療にPL液などで増やした幹細胞を活用できないかと考えています。
細胞の培養する研究では、世界的に牛の胎児血清が使われているなか、安全性への懸念などが指摘されていたことも研究の背景にあります。
川堀真人医師
「最終的に幹細胞は本人のものじゃないとだめだと思うが、幹細胞に食べさせてあげる餌は必ずしも本人のものじゃなくてもいいので安価で安全なものを」
捨てられるはずの血小板を使ってできた「PL液」による治療は、2030年に健康保険適用を目指しています。
安定的に、そして持続可能な再生医療を行うために、研究が続いています。2024年06月24日(月) 20時54分 更新
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