野川明輝本部長の離任会見に先立って鹿児島県警は31日、詐欺事件と強制性交事件の3つの事件で、被害者に対し不適切な対応があったなどとして、延べ38人を処分しました。
しかし、被害女性のひとりは「処分について説明を受けていない」などとして、不信感をあらわにしました。
不適切な対応にあった被害者と専門家、そして街の声を取材しました。
1日、県警本部の前で涙ながらに語る女性がいました。
詐欺事件の被害女性
「被害者に謝罪するのが一番大事だと思います。(説明は)何もないです。ニュースで初めて知りました」
この女性は、31日、警察が不適切な対応があったと認めた詐欺事件の被害者でした。
31日、県警が処分したのは3つの事件が対象で、20代から60代の警察官延べ38人にのぼります。
1つ目の事件は、鹿児島中央警察署の詐欺事件で、被害者女性への対応さに丁寧さを欠き、捜査で適切な対応がとられなかったとして、現在の鹿児島中央警察署長や当時の副署長ら22人が処分されました。
2つめの事件は、さきほどの女性が鹿児島南警察署に詐欺被害を訴えた事件で、「安易に犯罪の構成要件に該当しないと判断した」などとして、当時の副署長や総務課長などあわせて11人が処分されました。
3つ目の事件は、鹿児島中央警察署で受理した強制性交事件で、被害女性が出した告訴状の内容を十分に確認しないまま、相手にそのまま返還したなどとして、当時の刑事官や刑事第一課長など5人が処分されました。
県警は報道陣に対して、被害者への説明を行ったとしましたが、1日、県警に足を運んだ被害女性は警察組織への不信感をあらわにしました。
詐欺事件の被害女性
「『県民に寄り添った対応をしていく』と言った言葉は 全てうそです。本部長に直接話をさせてほいと、5分でいいからとお願いしたが『できない』と。ただ『伝えておきます』それだけです」
警察行政法の専門家は、これだけの規模の処分は珍しい、としながらも冷静な見解を示しました。
京都産業大学・田村正博教授
「(これだけ)広く措置を講じていくというのは大変珍しいこと。改善をより広くしていくんだ、そういう考えの表れなのではないかと受け止める」
一方、県民からは県警に対する怒りや失望の声が聞かれました。
60代
「ちゃんとせえよって感じ。何してるのよ?って。当事者はきついですよね、そうなったら。誰を頼ったらいいのか。ちゃんと仕事をしてほしい」
40代
「本部長の異動に合わせて大きく動いたなという感じがした。もう少し県民に対してじっくり説明する必要があったのではないか」
さらに、被害を訴えても受理を渋られたのが、いずれも女性からの申告だったことについて、街の女性からは失望の声が聞かれました。
40代
「(警察に)相談して解決してほしいと思って来るのに、そういう対応なら、もう信用ならない」
70代
「ショックです。女性は被害に遭っても(被害届を)出したり、相談しにくい。つらい思いをしている人もいるので、そういうことを幹部は考えてくれたら」