行方市のガラス造形作家、槙野さやかさんの作品展が、水戸市備前町の常陽史料館で開かれています。波打つ水面や今にも落ちそうな滴など、液体をイメージさせる「積層ガラス」の作品が並べられ、来場者の目を楽しませています。3月17日まで。
展示されているのは、大きなブロックの一端が溶け出したような「melts and flows」をはじめとするガラス作品13点です。磨き上げられた表面に光や周囲の景色が映り込み、見る角度によって色の濃淡や表情が多彩に変化するのが大きな特徴です。
槙野さんは高校時代、吹きガラスに興味を持ち、倉敷芸術科学大に進学しました。さまざまな技法を学ぶ中で、建材用の板ガラスを何層も重ねて接着し、電動やすりで削り出す「積層ガラス」に着目しました。「ガラスを重ねた時に現れる緑色が小さい頃にのぞき込んだ井戸の底に似ていた」と、魅惑された理由を振り返りました。
一つの塊に見える作品も、目線を変えると重層的な質感が浮かび上がります。溶けたような有機的な造形は、冷たいはずのガラスに熱や温かみを感じさせます。「水みたいだけど何かがおかしい、確認しなければ気が済まない、と思ってもらえたら」と槙野さん。「触ってみたい気持ちをぐっとこらえて、いろいろな角度からのぞき込んでみてほしい」と話しました。
午前10時から午後5時45分まで。月曜休館。