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新型コロナワクチン接種後に父を亡くした娘 国の救済制度に認定 いま願うこととは…
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2021年、新型コロナウイルスのワクチンを接種した後に亡くなった那須塩原市の男性に対して、国は5月、因果関係が否定できないとして、救済制度の対象に認定しました。亡くなった男性の娘がいま強く願うこととは、胸の内を聞きました。 「審議だったり認定の通知だったり純粋に長かったなと思う」 こう話すのは那須塩原市に住む田所陽子さん(仮名・53)です。 陽子さんの父・忠さん(仮名・当時76)は2021年7月に、2回目の新型コロナワクチンを接種したあと、手足などに力が入らなくなる多発神経炎を発症し、その約2か月後帰らぬ人となりました。死因は、多発神経炎で筋力が低下したことなどによる細菌性肺炎でした。 陽子さんによりますとワクチンを接種する前の忠さんは散歩を日課にするなど健康的な生活を送っていたといいます。 陽子さん:「最初はワクチンを接種して亡くなるとかそういった知識も認識もなかったが、亡くなった理由を知りたいという気持ちがすごく大きくなっていった」 『父親がなぜ亡くなったのかを明らかにしたい』陽子さんは、看護師をしている妹のすすめもあり国の救済制度の認定に向け動き出しました。 国の救済制度では、ワクチンの接種後に健康被害が出たり死亡したりした人については、国が因果関係を否定できないと認定した場合、医療費や死亡一時金などの給付が受けられます。給付金の申請は健康被害を受けた本人、またはその家族が住民票を登録していた市町村に対して行うことになっています。 陽子さんは、死亡一時金に加え医療費や葬儀の費用を請求しようと市の協力をうけながら100枚以上の書類を準備しました。仕事をしながらの書類の準備は大きな負担となり、動きだしてから提出までに5カ月を要しました。 その過程で、医療機関の受診を証明する書類の形式を市が間違うなどの不手際もあったといいます。 陽子さん:「カルテだったり診療記録だったり自力で自費で集めなきゃいけない。父の場合は3カ所の病院に通院・入院をしていたので、全ての病院にご協力いただくのがとても大変だった」 国の救済制度について提出された申請書類は、まず市町村の調査委員会で整理され、都道府県を経由したのちに厚生労働省に送られます。その後、医療や法律などの専門家による審査会でワクチンとの因果関係が判断されその結果が市町村から申請した人に伝えられます。 しかし、陽子さんの申請に関する那須塩原市の調査委員会はしばらくの間開かれることはなく、書類が市から県に送られたのは提出から1年後でした。 陽子さんによりますと市は申請が一定数集まってから調査委員会を開こうと思っていたなどと説明したということで、その後、書類の不手際のことなども含めて謝罪があったといいます。 2022年3月に市に申請書類を提出し、最終的に国からの認定通知が届いたのが2024年5月。ここまで2年2カ月の時間を要し、書類の準備期間と合わせると2年7カ月に及びます。 6月7日に始まった那須塩原市議会の定例会で、陽子さんら遺族に対する約4460万円の死亡一時金などを盛り込んだ補正予算案が可決しました。 議会を傍聴に訪れた陽子さんはその後、議会や市に対してワクチンのリスクを十分に説明することや救済制度の申請を受け付ける体制の見直しを直接訴えました。 陽子さん:「申請にたどり着くまで約半年の時間がかかってしまった。通知が届くのを待つしかできないのは、すごくもどかしく、苦しかった」 那須塩原市議会・山形紀弘議長:「時間かかりすぎてしまった。いくら厚生労働省の仕事だといっても窓口は市役所。膨大な資料と提出書類が多いことについても何かいい方法はないか考えている」 県によりますと、県内では18日の時点で新型コロナワクチンを巡る救済制度の申請は169件あり、100件が認定されたということです。このうち死亡した事例の申請は28件あり、認定されているのは11件です。 陽子さんは今後も自分と同じような境遇の人がいれば救いの手を差し伸べたいと話します。 陽子さん:「この3年間で自分が何をしたいんだろうと考えてきたとき、“正しく知っていただく”ということが1番やりたいことなんじゃないかと思っている。同じワクチン接種後のご遺族だったり後遺症患者の方だったりが力を貸してほしいというときは、駆け付けて周知の活動できれば」 これまでに国内で、のべ4億3600万回以上の接種が行われてきた新型コロナワクチン。制度に対する自治体や医療機関の理解を進め迅速な救済の対応が求められています。

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