兵庫県相生市の中学2年の男子生徒が自殺した問題で、第三者委員会は教職員がいじめを見逃したと強く批判しました。
「予想をはるかに超えたひどいいじめが行われ、それが放置されていたことを知り、驚きと悲しみに打ちのめされました」
「息子を守り切れなかった後悔に苦しみ、地獄のような1年でした」
そう会見で訴えたのは、いじめが原因で自殺した息子の両親です。
3年前、兵庫県相生市の市立中学に入学した男子生徒は複数の同級生から「きもい」「変態」と陰口を言われるようになったといいます。2年生になると、掃除をしている際にほうきで小突かれたり蹴られたりされ、別の日には同級生に首をつかまれ、教室の窓から落とされそうになるといった行為などが日常的に行われていたということです。精神的に追い詰められた男子生徒は、去年3月、自宅で自ら命を絶ちました。
(男子生徒の父親)
「(自殺の直前、息子は妻に)『学校行かなあかんよな』と言っていた。ただ息子は正義感が強いのと、今まで皆勤賞でやってきたところもあって、今考える無理をしていたんだろうなと」
(男子生徒の母親)
「なぜ学校を休んで、家にいさせなかったのかと、後悔ばかりしています」
第三者委員会は、少なくとも36件のいじめ行為があったと認定し、「いじめがなければ男子生徒は自死に至らなかった」と結論づけました。
(第三者委員会の会見)
「数えきれないので、少なくとも36件という表現になっている」
「(いじめ行為について)複数の教員たちでいろいろ議論しなきゃいけないがしていない。さらに、当該生徒がいじめを受けているにもかかわらず、その後のケアを受けていない」
学校側は男子生徒からの相談や校舎での閉じ込めなど2件のいじめ行為を認識していたにもかからず、いじめ防止対策推進法に基づく対応チームを設置しなかったうえに、教職員間で情報の共有もしていませんでした。
(男子生徒の父親)
「『校長は適切に対応します』と言ってくれたにもかかわらず、このような結果になってしまいました」
「いじめられた生徒は、ちゃんと対応してくれなかったら、どこに行ったらいいのか、今思えば後悔の気持ちでいっぱいです」
自殺から1年以上が経った今も、加害生徒や保護者、学校側からは一度も謝罪がないといいます。市の教育委員会は「結果を重く受け止め再発防止に取り組み、信頼回復に努める」としています。