札幌中心部の三角山にクマが出没し、登山道が閉鎖されました。散策のため普段から多くの市民が利用する登山道の閉鎖は2年ぶり。市は捕獲も視野に対策を検討しています。
山の中を歩く2頭のクマ。これは7月5日午前9時ごろ、札幌市が設置したカメラがとらえた画像です。
クマが出没したのは札幌の三角山と盤渓につながる登山道で、宮の森入り口から約300メートル付近です。
「札幌市が管理する登山道、三角山~盤渓ルートの入り口ですが、7月5日クマが目撃されたため閉鎖されています」(安野陽介ディレクター)
札幌市によりますと、クマは親離れしたかしないかくらいの若い2頭で、体長1メートルほどだったということです。さらに同じ日の午後9時40分ごろには直線で約400メートル、西区山の手の住宅街でも2頭のヒグマが目撃されました。
「クマが現れた三角山に面する一般住宅の敷地です。クマによってサクランボが食い荒らされたとみられ、住人は二度とクマが出ないように木を伐採しました」(安野ディレクター)
周辺ではこのほかにもクマの目撃が相次いでいて、札幌市は三角山につながる3か所の登山道の入り口全てを閉鎖。このルートのクマによる閉鎖は実に2年ぶりのことです。
「(人間が)自然を壊しているからエサがなくて下りてくる」(近所の住民)
三角山では2年前の3月、クマの巣穴を調べていた男性2人がクマに襲われケガをする事故もありました。
札幌市が2023年策定した「さっぽろヒグマ基本計画」。
7月2日に公表された「ヒグマ対策重点エリア事業実施プラン」では、三角山から藻岩山及びその周辺を含む地域を「重点エリア」としています。
このエリアは市内のクマ目撃件数の4分の1を占めていて、住宅街と隣接しているだけではなく登山客や観光客などの利用も多く、侵入対策や個体数を減らす取り組みが必要だとしています。
そのため住宅街につながる場所でエサになるクルミの木を間引きしたり、電気柵を設置したりして近づけないようにするほか、箱わなによる捕獲で個体数を減らすこと、さらに自動撮影できるカメラを増やし、生息状況の監視強化にも取り組むとしています。
札幌市は、今回三角山で撮影されたクマは4月下旬から出没を繰り返していた親子グマと同一個体とみられ、「問題個体」と判断。今後は箱わなによる捕獲も視野に対策を進める方針です。