福岡県北九州市で約100年前に誕生した「堅いお菓子」、堅パンは4月、堅さをより際立たせた新しいパッケージを採用しました。「堅さ」の秘密に迫りました。
叩けば「カンカンカンカン・・・」
まるで「木の板同士を叩いている」かのような音を奏でるのは、北九州市の名物・堅パンです。約100年前に、八幡製鉄所で働く人がカロリーを補給するために開発されました。そんな鉄の街で生まれた堅パンは、名前の通り、「堅いお菓子」として有名です。RKB 若松康志
「堅パンは北九州市八幡東区で生まれました。では食べてみようと思います。…奥歯でかまないとかみ砕けませんが、かんでいるとほのかな甘味が口の中に広がります」Q.堅パンを知っている?
男性「知ってますよ、製鉄所があるやろ、あそこの構内で作りよったんよね。購買会にいけばある。ようするに我々が小学校の時によく食べてた」Q.いつ食べた?
高校生「3~4日前に。バリバリちょうどいい堅さで、めっちゃうまいです。『やっぱりちょっと堅すぎるな』って時は、牛乳につけたりして柔らかくして食べたり」
”鉄の街”のソウルフード
唯一無二の堅さと素朴な甘味で、長年北九州市のソウルフードとして愛されてきた堅パン。4月から土産物店などで販売する堅パンに、新たなパッケージが加わりました。テーマは「堅パンvs鉄」。堅パンと鉄なべ餃子の鉄なべや鉄道のレールなどとの硬度の比較がパッケージに掲載されています。SPINA 堅パン課 濵口勝克 課長
「硬度比較をしたら面白いんじゃない、同じ食品で硬度比較するよりも、鉄製品と比べてみようかと。北九州はやはり”鉄の街”というのをもっとアピールしたくて、八幡製鉄所発祥の堅パンをもっと知ってもらおうと」
「虫歯や歯周病にもなりにくい」
側面に書かれているのは「健康はアゴから」。専門家は「堅いものを食べることがよくかむことにつながる」としたうえで、「健康にもよい」と話します。九州歯科大学 正木千尋 准教授
「よくかむことによって唾液がしっかりと出ますので、消化にいいだけではなくて、虫歯や歯周病にもなりにくいと言われています。またかむことで脳の血流量も増加し、脳の活性化にもつながります。よくかむことと、堅いものをかむということは全く異なります。やはり堅いものをかみすぎると歯にとって負担がかかりすぎてしまうことがありますので、特に歯に自信がない方は充分気を付けて食事をしていただきたい」
旧「八幡製鉄所」跡地で製造
堅パンは現在、八幡製鉄所の跡地にある日本製鉄の敷地内で製造されています。なぜここまで堅さにこだわるのか。その秘密に迫りました。せっかくなので焼きたての堅パンを食べさせてもらうと…。
RKB 若松康志
「いただきます。…熱い、まだ柔らかい。おいしい。手で簡単に割れますね」
なんと!焼きたては「堅パン」ならぬ「柔パン」でした!ただ数分経つと…。
RKB 若松康志
「手に持っていて冷めてきたら、だんだん堅くなってきた。もう指で割れなくなりました」SPINA 堅パン課 濵口勝克 課長
「オーブンで焼いて水分をほとんど飛ばしているのが一つと、原材料の上白糖、砂糖が焼いて熱い間は溶けているんですよ。だから柔らかいんですよね。冷やすと、その糖分が冷え固まって、最後はカッチンカッチンになるんです」
堅パンの「堅さの秘密」
かつて、八幡製鉄所の従業員が作業着の胸ポケットに入れてかじりながら仕事をしていたと伝えられる、堅パン。過酷な環境の中、懸命に働く従業員を支えたのは製鉄マンのプライドと堅パンだったのかもしれません。
SPINA 堅パン課 濵口勝克 課長
「昔、日持ちさせるために堅くした、水分を飛ばしたというのが正解なのかもしれないですけどね」
堅パンの「堅さの秘密」には、働いていた従業員を思う気持ちが込められていました。フレンチトーストなどのアレンジレシピもあり、堅パンの担当者は「堅パンをもっと全国区にしていきたい」と意気込んでいます。
詳細は NEWS DIG でも!↓
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/rkb/1250303