夏には「漫然運転」に注意です。暑さの中での外出、特に運転時は注意力も散漫になりがちです。ほんの数秒の「ぼんやり」が、命取りになります。
ドライブレコーダーがとらえた映像。見通しの良いまっすぐな道を走るトラックですが…。
「やべ、赤だ」「あぁっ!!」
左からきた車と衝突。運転手の男性は直前まで、自身が赤信号で進入していることに気づいていないような反応です。
また、高速道路を走る映像では、前方に車の列が見えてきましたが、そのまま一番後ろの車に追突。玉突き事故を起こしてしまいました。
これらはいずれも、ぼんやりとした状態で運転する、いわゆる「漫然運転」が引き起こした事故とされています。
「漫然運転」事故は7~8月に突出
愛知県では「夏の交通安全県民運動」が11日から始まりました。
外出するだけで体力を消耗するような暑さが続くこの時期。
夏ばてやレジャー帰りの疲れなどから、ドライバーの注意力が散漫になる傾向があるとして、県警はこの夏、特に「漫然運転の防止」を呼びかけています。
過去5年間で、車やバイクなどが引き起こした死亡・重傷事故のうち、原因が「漫然運転」の割合を月別に表したグラフ。
1年を通し、おおむね10%ほどで推移するなかで、夏の7月と8月が突出しています。
「前を見ているのに、ボーッとして見えていない」
「漫然運転」になっているとき、ドライバーはどのような状態なのでしょうか。JAF愛知支部で話を聞きました。
Q.漫然運転はどういう運転?
「注意力が低下しているなどして、前を見ているのにボーッとしてしまい、注意すべきものが見えていないという状態」(JAF愛知支部・水野彩さん)
「居眠り運転」や「スマホのわき見運転」とは違い、前を見て運転ができている状態なのに、実際は信号の色や標識などに注意が向いておらず、自分も周りも危険にさらしてしまう可能性があるといいます。
Q.なぜ夏に漫然運転が増える?
「この季節暑いので、日光を運転中も感じると、まぶしくてボーッとしてしまったり、夜寝つきにくくて睡眠時間がとれていない方がよりボーッとしてしまう」(水野さん)
「漫然」を「安全」にするポイントは
特にこの時期は、運転に備えた体調管理も必要だといいます。
そして、いざ運転するとき。「漫然運転」を「安全運転」にする車の環境づくりの3つのポイントを教えてもらいました。
「まずはシートポジション。倒してリラックスして運転する姿勢になっていると、交通安全的にも急ブレーキが踏めないなど危ない。ハンドルの上を持ち、ひじが曲がる程度が正しいシートポジション」(水野さん)
次は室内の空調管理。
「長距離運転する際は、人間の吐く息で二酸化炭素が車内にたまるので、内気循環から外気循環に変えると、酸素が回るし、空気の入れ替えにもなります」(水野さん)
そして、適度な水分補給ができるように、ドリンクホルダーには飲料を用意します。
「コメンタリードライブ」とは
さらに、こんな対策も――。
「コメンタリードライブというものがあります。コメンタリードライブは、運転中に景色を見るだけではなく、目に見えたものを口に出して注意を自分で感じるというもの」(水野さん)
水野さんに道路上で実践してもらいました。
「信号よし。歩行者注意。人注意。工事中注意。人が出てくるかもしれない」(水野さん)
「前方に一時停止しているトラックもある」(木岡真理奈アナ)
「運転手が急に扉を開けて出てくるかもしれないと思うだけではなく、口に出すということがコメンタリードライブ」(水野さん)
「夏休みに入って、長距離運転をする人が多いと思うので、家族の安全のためにも、漫然運転にならないよう気をつけてほしいと思います」(水野さん)