【市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会】
第1次安倍政権以降、政権の意向を色濃く反映したNHK会長が選出され続けてきました。中でも、籾井勝人氏は、会長就任の日の記者会見で、「政府が右というものを左というわけにいかない」と発言し、世間の厳しい批判を浴びました。公共放送の理念を理解しているとは思えない財界出身の会長が続き、そのもとで、時の政権に忖度したニュースや世論調査、社会の関心事に応えようとしない日曜討論やNHKスペシャルが日常化しています。 2023年1月には新しい会長が、現在の経営委員会によって選出されます。次期会長がこれまでの悪弊を引き継ぎ、市民の宝である公共放送をこれ以上毀損することは許されません。
そこで、わたしたち「市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会」は、メディアのありようを問う市民団体、NHKOBとOG、NHKの現役職員有志、メディア研究者、メディア関係者の思いを結集し、ここに次期会長候補として前川喜平さんを推薦します。
放送法によれば、NHK会長は経営委員会によってのみ選ばれ、わたしたち市民が直接選ぶ仕組みにはなっていません。ですが、わたしたちは、このようなひとにりーダーになってもらい、そのりーダーのもとで現在のNHKの病弊からの訣別を訴えることに意味があると考えています。そして、公共放送が再び息を吹き返すために多くの人びとと理念を共有し、働きかけることはできます。
2017年に森友学園問題と加計学園問題が発覚しました。その際、前川喜平さんは告発のための記者会見をたった一人で行い、安倍首相ら政権の嘘を暴きました。文部科学事務次官まで上り詰めた官僚として、日本の行政史上かつてない大事件でした。前川喜平さんは一市民となった後、日本のジャーナリズムのありようを問い、教育の機会に恵まれなかった夜間中学の生徒に、学ぶことの素晴らしさを教えるボランティアを続けておられます。
NHKの本来の使命は、政権の顔色をうかがうのではなく、真実を伝え、社会の課題を議論するプラットフオームとなり、豊かな文化を放送を通じて日常的に市民に届けることです。それは前川喜平さんが長く身を置いた、文部科学省の柱である社会教育や生涯学習、学校を離れて教育や教養をあまねく普及させることとも重なります。政権からの不当な圧力に屈せず、公僕としての職責を果たす。これは放送法にうたわれた公平公正や、真実を追求し健全な民主主義のために資するジャーナリストの精神と同じものです。
籾井勝人会長時代の2015年、NHKの予算承認を行う際、国会では経営委員会に対して「会長の選考については、手続きの透明性を一層図りつつ、公共放送の会長としてふさわしい資格・能力を兼ね備えた人物が適切に選考されるよう、選考の手続きのあり方について検討すること」という付帯決議が、前年に引き続いてなされました。それより前の2013年11月に経営委員会は、「次期会長資格要件」として「NHKの公共放送としての使命を十分に理解している人」なヽどの6項目を求めましたが、まったく機能しないまま今日を迎えています。こうした異常な事態をこれ以上放置することは許されません。
今回、前川喜平さんは、わたしたちの願いを受け止め、市民が推薦するNHK会長候補になることを承諾してくださいました。市民の受信料で支えられる公共放送NHKを、公共の精神が希薄な人物に任せるのではなく、公共の大切さを心の底から理解するひとによってよみがえらせましょう。わたしたちは、ここに、前川喜平さんとともに新生NHKの未来をいっしょにつくっていくことを強く訴えます。
#前川喜平 #ジャーナリスト #籾井勝人 #NHK #公共放送 #NHK会長 #新生NHK # # #森友学園問題 #加計学園問題 # # # # #三輪祐児